てくてく山口の会

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8月5日 上関原発埋め立て免許交付に対する県庁への抗議行動

山口県知事の突然の上関原発埋め立て免許交付に対して、8月5日、祝島の住民の皆さん、県内外の支援者約100名が県庁へ抗議に行きました。午前10時から県庁玄関前で抗議行動が始まりましたが、その顛末を原康司さんがフェイスブックに報告されていましたので、下記引用させていただきます。

 

午前10時急な呼びかけにも関わらず祝島からは忙しい神舞準備の合間を縫って約40名。県内外からも計100名前後の有志が県庁前に集結した。 知事との面会を求めるが多忙を理由に断られる。知事室に抜ける渡り廊下で座り込みに入った。 膠着状態が続いたが社民・民進の県議が仲介に入り別室で港湾課担当者からの説明を受けることになった。 人数制限を言い渡されたが僕も同席させてもらう。

今回埋め立て免許延長申請が認められた経緯の決め手となったのは埋め立て後の土地需要があることが具体的な根拠を持って示されたということだった。何年にも渡って繰り返し補足説明を求めていたのでさぞ壮大が資料があるものだと思っていたがA4半分のメモ書きのようなものを渡された。それが根拠の理由だという。

全文を記載する。
6回目補足説明回答の中で中国電力から示された国の見解について
日付 平成27年5月11日
発出者 経済産業省資源エネルギー庁 電力・ガス事業部電力基盤整備課長
回答内容「現時点では想定していない」
中国電力からの「重要電源開発地点制度に関し、現時点で見直すことを考えているか。」との照会に対しての回答

7回目補足説明回答の中で中国電力から示された国の見解について
日付 平成28年6月17日
発出者 経済産業省資源エネルギー庁 電力・ガス事業部電力基盤整備課長
回答内容「貴見のとおり、上関原子力発電所に係る重要電源開発地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り、解除することは考えていない」
中国電力からの「上関原子力発電所については平成17年2月に重要電源開発地点指定を受けている。この指定は、引き続き有効であり、解除されることはないと考えてよいか。」との照会に対しての回答。

6回目と7回目、あまり意味合い的には変わるものではないと思うのだが港湾課は今回7回目の補足説明には上関原子力発電所個別の見解が明記されたことが大きな理由だという。

一方現政府は「現時点では原発の増設・新規はいまのところ考えていない」という姿勢を取っている。この矛盾に対しても国の機関である資源エネルギー庁からの回答を得ているのだから問題はないのだという。

重要電源開発地点指定は基本的に建設が終わって初めて解除される類類ものであり震災そして福島原発の事故後は議論にもされていないものだ。
明らかに埋め立て免許を交付するためのなにかないものかと必死で探した唯一の根拠なのだろう。
県側がいうには法的にみると免許を交付せざるを得ないのだという。だったら公有水面埋め立て法34項1項「満了後、埋め立て期間満了により埋め立て免許は失効し、失効後3か月経つと効力復活は不可能となる。」という法律はどうなるというのか。それを完全に無視した県側に法の順守を言う権利などない。

そして改めて驚いたのは福島原発の事故を経ても埋め立ての許可と原発建設をまったく別物として扱っていることだ。2008年の埋め立て免許交付の際も原子炉設置許認可が出る前の交付だったが今回も原子力規制庁が審査する新基準がどうであれ県には関係ないということであった。
つまり福島原発の惨事は俺たちは知らん、地元住民が反対することも俺達には関係なし。都合のいい資料と裁判沙汰になってもなんとか勝たせてくれる根拠されあれば免許は交付するよということ。そこに知事の政治判断ということはまったく存在していないということだ。
まるで2008年にタイムスリップしたような感覚を覚えた。
これで山口県と知事は原発建設に関わる責任をすべて逃れた形になる。

そして驚くべき山口県知事の要請が最後に述べられている。
発電所本体の着工時期に見通しがつくまでは、埋め立て工事をしないこと。」
偉そうに要請しているのだが発電所着工の見通しとは一体なにを指しているのか?原子炉設置許認可?それとも中電が独自に決める着工時期?それとも重要電源開発地点指定されているから見通しがついている?
県側の回答はそれさえも中電が決めることでいいのだという。埋め立てするもしないも彼ら次第。これほど馬鹿げた要請もないだろう。
いわば原発に反対する住民にとっては時限爆弾(工事着工)を抱えたようなものだ。これからはいつ着工されるかわからないプレッシャーと共に過ごすことになる。

原発事故後、自民党の重鎮が山口に来て「上関は10年は建設できな
いだろう。」といった言葉がよぎる。
事故から5年。地ならしの手続きが始まったのだ。これから数年かけて再稼働を進め、その後は新増設に手掛ける。それが10年。そのシナリオがしっかりと見える。

今回の埋め立ての許認可はまったく予想できなかった。自分が抱える裁判も和解に向けて急に中電が態度を軟化してきていたのも不思議ではあったが楽観的に考えていた。
まさに寝首を斯かれるとはこのことだ。まだまだ自分も甘い。

これからの5年が一つの分かれ目になることは間違いない。一人ひとりがどこまで思いを行動に移せるか、思いを繋げられるか。対立ではなく個々の想いを自由に表現できる世の中にするのか。

あの美しい海を守る一点ではみんな協力できるはず。それは人の本能でもあると思うから。

海見たい人いつでも連れていくよ。

原康司さんは虹のカヤック隊のメンバーで、現在4800万円の損害賠償請求を中国電力から訴えられています。この裁判は市民の声を権力やお金、脅し、時間的な拘束、疲労などで潰すことを目的とした、いわゆるスラップ訴訟(SLAPP)です。(SLAPPとは〝Strategic Lawsuit Against Public Participation〟の略) 裁判の詳細は下記のリンク先でご覧ください。

4800万円損害賠償裁判 - 祝島の暮らしと上関原発 ~止めようSLAPP裁判~